「親をゆるせない」あなたへ

「親を許さなくてはいけない」
そんな言葉を見かけた時に…

親を許さなくては幸せになれない、
親を許せない自分に問題がある、
どうにか親を愛さなくてはいけない…

そんな風に、ご自身を苦しめる必要はないのだと思います。

 

親がしてくれなかったこと…
愛してくれなかったことや、抱きしめてくれなかったこと、思い出を作ってくれなかったこと…。

親にされた仕打ち…
心無い言葉や怒声、手を上げられたこと、夫婦喧嘩を目の当たりにしたこと…。

 

親がちゃんと愛してくれなかったから…
人が怖いんだ、
人を信頼できないんだ、
「幸せになれる」なんて信じられないんだ、
誰も自分のことなんて愛してくれないんだ、
安心安全な場所なんてないんだからいつも緊張しちゃうんだ、
愛したってきっと裏切られるんだ…

そんな風に思うことは、決して不自然なことではないのだと思います。

 

まずはそんな自分を…
怒りや悲しみや恨みを持っているならば、「それでもいい」と思うこと…
そうして、どうかあなた自身をゆるしてあげてください。

 

いろんな感情を持つことが悪いことではないのです。
ただでさえ、苦しい感情を持つような現実の中に居るのに、
「こんな感情を持ってはいけない」とご自身を責めることで、
更に自分を苦しめないであげてください。

「親を許せない」自分をゆるしてあげてください。

 

少しでも「自分」をゆるすことができると、そこにちょっぴりスペースができて…
愛や、優しさや、平穏な気持ち、ゆとり、あたたかさ…
きっときっと素敵な「想い」が少しずつあふれてくるでしょう。

そうしたら、自分を愛してあげること、大切にしてあげること…
もしも「自分」に与えることが難しかったら、
あなたが大好きな人をもっと愛すること、優しくすること…
あなたが大好きな動物や植物や…どんなことでも良いので、
たくさんの愛を注ぐように過ごしてみてください。

 

きっときっと景色がどんどん変わっていくのでしょう。
そして、あなたの「こころ」も癒されて、穏やかになって…
どんどん変わっていくのでしょう。

 

そんな時に、ふと「親」を見る「こころ」も変わっているのかもしれませんね。
強い強い感情を伴うことなく、そこに在る「親」を見ることができるのかもしれませんね。

それが「ゆるし」なんだと思うのです。

 

だから、無理に「親」を「誰か」をゆるそうとなんてしなくても良いのだと思います。
「ゆるさなきゃいけない」という気持ちを脇に置いて、
あなた自身を労わること、大切にすること、愛することの方が、
ずっとずっと大切なのだと思います。

 

あなたのお幸せを心からお祈りしています。

夜空

 

私は数年前までは、「親を許してなるものか」と、ずっと思っていました。

 

自分が不幸せで満たされない想いを抱えていることも、
恋愛依存症で辛い恋愛を繰り返し、結婚できないことも、
職場の人間関係がで悩んでいることも、
根拠のない劣等感を抱えて「生きていて、ごめんなさい」と思ってしまうことも…

すべて「親のせい」、「育ってきた環境のせい」だと信じていました。

 

だから、「許しなさい」と書かれている自己啓発本などを読んでも、
「人の気も知らないで軽々しく言わないで。許せるわけない」
と強く反感を抱いていましたし、
同時に「許せない自分へ」の罪悪感まで湧いてきて…
とてもいたたまれない気持ちになりました。

 

よくよく振り返ると…
その頃の私は、「親を許してしまうと、すべて自分で責任を取らなくてはいけなくなる」と、
親を許すことを恐れていたような気がします。
そして、「自分が不幸で居続けることが、親への復讐」と、
深い深いところでは考えていたように思います。

だから、長い間「親を許さないこと」、「親を怨み続けること」に多くのエネルギーを注いできたわけです。

 

結果としては…
もちろん親に天罰が下るわけでもなく、
ただただ自分の不幸が深まるばかりで…
「どん底」と思う状況に直面した時に、
「親への恨みは置いておいて、まずは自分が変わろう」と思いました。

 

それから、カウンセリングやヒーリングや、奇跡のコースだったり…
いろいろなことを学び、経験して、自分自身が癒された時に、
ふと「親が許せない」という気持ちにエネルギーが向かなくなったというか、
簡単に言うと、「どうでも良くなった」という感じになることを経験しました。

 

今も「親が大好き」になったわけではないし、「親のしたことを水に流した」訳ではないのです。
幼少期に私が受けた辛かった経験が無くなったわけではないのですが、
過去にフォーカスすることが減ったような気がします。

 

「親を恨むこと」で、過去に向かって怒りや悲しみなどのエネルギーを注いでいたものが、
「いま」を幸せに生きること、自分にそして周囲の方々に愛を注ぐこと…
そんな風にエネルギーを向ける方向を変えることができたので、とても楽になりました。

 

そう、「親を怨み続けること」で親に罪悪感を背負わせ、ある意味コントロールしていたつもりが…
自分自身に足かせをつけていたということに気づいたのです。
親に対する恨みが晴れて、もっとも自由になれたのは「わたし」なんだとしみじみ思います。

 

そのような経験からも、誰かを「ゆるそう」無理やりにする必要はないと思うのです。
「ゆるそう」と思って、ゆるせるなら、それももちろんOKだと思います。

 

自分の心が癒されていくことは、悲しみや怒りや…いろんな感情でよどんでいた周囲がクリアになっていくような感じかもしれません。
先日、「合歓の郷」に行った時の満天の星空と、都会で見る寂しい星空も…実は同じなんですよね。

 

心が癒されていくと、
今まで気づかなかった幸せに気づける、自然に感謝がわいてくる、ますます幸せになる…
そんな循環に乗れるのだと、今は考えています。

いつでも満天の星空を見ることのできる「こころ」でいられますように。

投稿者プロフィール

藤原 加都江 
藤原 加都江 心理カウンセラー(精神保健福祉士)
豊橋カウンセリングルームの他、近隣地域でのカフェカウンセリングや訪問カウンセリングをご提供しています。またスカイプ等のオンラインカウンセリングにも対応いたします。(H30年に公認心理師試験合格)

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